松葉舎ゼミ

松葉舎に興味はあるものの、研究をするのは敷居が高い、継続的に参加し続けるのは難しいという声をしばしば頂きまして、ゼミコースを新設いたしました。

 

 ゼミコースは、僕からの講義をおこなうレクチャー日と、その内容をもとに参加者のみんなで会話するゼミ日の2日間を1セットとして行います。レクチャー日には、これまで松葉舎でとりあつかってきた図書を紹介するとともに、塾生とともに考えてきたことについてお話したいと思います。その話を受けて、みなさまの心には様々な思いが浮かぶと思いますが、そのような思いをすぐさま言葉にするのは難しいですし、紹介された図書を読んだうえで考えを深めたい方もいらっしゃると思います。そこで、レクチャー日の1ヶ月後にあらためてゼミ日をもうけまして、その間にあたためた思考を交換していければと思います。

 

 なにかを思うだけでなく、その思いについて考えることで、はじめて思考は思考となりますが、折角胸に浮かんだ思いも、それを言葉にする時間や誰かと語りあう機会がなければ、かたちを取れずにたち消えてしまいがちです。かたちなく堆積した思いは、かたちなきままに僕たちの生を支えてくれるものではありますが、そうした思いの一部でもを言葉にして語りあえる場を作りたいと思ったことが、今回の2日間を1セットとしたゼミコースの着想となっています。

 

 2ヶ月に1冊程度の本を読みながら、じっくりとものを考え、それを学友とともに語りあいたいみなさまのご参加をお待ちしております。

 

カリキュラム(2022年度)

【第1回】私の輪郭、こころのかたち

解剖学者の養老孟司さんが、何かを学ぶということは死ぬということですからね、と述べていたけれど、それは本当のことだ。学問のなす力強い問い掛け、非自明な思考に触れて戦慄を覚えたとき、それまでの自分に形を与えていた常識はぐらつき、かつて存在していた自分はそこからいなくなってしまう。それはいっぺん死んで、新しい自分の姿を生きなおすという経験に他ならない(開塾挨拶より)。

 

 松葉舎ゼミ第1回では、思考の枠組みをここちよく揺さぶり、「私」という輪郭を解きほぐしてくれる、いくつかの書籍を紹介する。意識の外に広がる、無意識の領野(下條信輔『<意識>とは何だろう』)。文字以前の心と、文字以後の心(安田登『身体感覚で「論語」を読みなおす』)。人間の意識と、人間でないものの意識(池上高志、石黒浩『人間と機械のあいだ』)。脳から身体、そして環境へと漏れだす心(アンディ・クラーク『現れる存在』)。

 

「心は漏れ出しやすい組織である。絶えず「自然な」境界を抜け出して、臆面もなく身体や世界と混じりあってしまう」(アンディ・クラーク)

 

これらの書籍を読む前後で「心」「命」「私」という言葉への手触りがどのように変容するかを味わってほしい。

 

【第2回】石とともに笑う科学(予定)

大学院で物理学者として過ごした5年間は、科学を通してみる世界の豊かさを実感した5年間であるとともに、科学によってこの世界から失われた彩りに想いを馳せた5年間でもあった。以来、科学を素朴に肯定することも、単純に否定することもできないジレンマのなかで、これからの科学を追いもとめている。陶芸家の河井寛次郎の言葉は、そんな僕にとって一つの指針となっている。

 

「石が歩いてくる 石が笑って来る こういう思想と、科学とはどうつながるのかという質問ですが、なるほど、科学者が世界に与える世界像では、石は笑わない。しかし、そういう世界像をつくっているその行為においては、科学者は石とともに笑っていたりします。生命の流れの真の姿は、ここにあるのです。このことは科学者にとっても、芸術家にとっても同じです」(河井寛次郎)

 

 陶芸家として毎日土をこね、土と交わることを通じて、河井寛次郎は土とともに笑い、石とともに笑い、その奥にある生命に触れていた。その行為をひとは科学と呼ばないかもしれないが、寛次郎はある意味で、現代科学よりもよほど的確に生命の流れを捉えていた。物質としての生命ではなく、生命としての生命。その理解は、ものとわたしの切断ではなく、ものとわたしの交わりにおいてなされていく。

 

 民芸思想、科学哲学、あるいは比較文化論の書籍などを参考としつつ、石とともに笑う科学、芸術、暮らしのあり方を考えていきたい。

 

【第3回】余白/blank

参加されたみなさまの様子をみつつ、またその頃に松葉舎研究コースで取り組んでいる内容も踏まえてもっとも新鮮なトピックを扱えるよう、第3回の内容はさしあたり余白/blankとして残しておきたいと思います。 

 

※カリキュラム内容は都合につき変更する可能性がございます。

 

スケジュール

2022年10月 - 2023年3月

第3金曜日19時00分 - 21時30分

 

【第1回】10月21日、11月18日(11月17日)

【第2回】12月16日、1月20日(1月19日)

【第3回】2月17日、3月17日(3月16日)

 

ゼミ日となる11月18日、1月20日、3月17日は参加者全員に発表いただけるよう少人数での開催となります。応募者多数の場合は、予備日の11月17日、1月19日、3月16日に人数を分けて開催したいと思います。

 

開催場所

ファッション私塾 coconogacco の教室(最寄り駅:浅草橋、東日本橋、馬喰横山)をお借りして開催します。(※写真は引っ越し前の coconogacco 教室となります。現在の教室も同じインテリアデザイナーによる内装となりますので雰囲気のご参考としてください)

受講料

【レクチャー単発】4,500円(税込4,950円)

いずれかの回のレクチャーのみに参加される方。定員2〜30名程度。

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【ゼミセット単発】13,500円(税込14,850円)

いずれかの回のレクチャーとゼミ、合わせて2日間参加される方。定員8名程度。

 

【全3回割引】36,000円(税込39,600円)

第1回から第3回までのレクチャーとゼミ、合わせて6日間参加される方。

 

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