◉お知らせ

・私塾・松葉舎の開校に伴い、高校生から大人まで、広く生徒を募集します。

・2017年6月17日には独立研究者・森田真生氏をゲストにお招きしての公開サロンを神保町にて開催いたします。

・塾生の立川玲音奈さん(ファッションデザイン)の作品「いき」がJOSHIBISION@東京都美術館にて展示されることになりました。

・根本きこさんのコラム「やんばるからの手紙」(琉球新報掲載)にて松葉舎のことを紹介していただきました。

◉開校の挨拶

 身体に宿る知性、環境に広がる心、意識の起源、Life as it could be。あるいは相対性理論や量子論、不完全性定理に不確定性原理。学問の世界には、人生をまっすぐに生きているだけでは夢想だにできない問いや考えが、ごろごろと転がっている。

解剖学者の養老孟司さんが、何かを学ぶということは死ぬということですからね、と述べていたけれど、それは本当のことだ。こうした非自明な思考、力強い問掛けへと触れて戦慄を覚えたとき、それまでの自分に形を与えていた常識はぐらつき、かつて存在していた自分は、そこからいなくなってしまう。それはいっぺん死んで、新しい自分の姿を生き直すという経験に他ならない。

 

学びの場所とはまず何よりも、このような自分独りでは夢想だにできない思想、それが故に、ともすれば一度もそれに触れることのないまま人生を往きかねない思想へと、ふと出会える場所でなくてはならない。

 それにしても、こうした夢想だにできないはずの世界、たとえば相対性理論の世界をはじめに夢想し得たのは、一体誰だったのだろうか。ときどきふと、そんなことを考える。もちろんそれは、誰もが知っているように、かのアインシュタインによって生みだされたものに違いない。しかもアインシュタインは、研究資金を大学に頼ることもなく、特許庁へのお勤めと家庭教師の収入とで賄っていたというのだから、まさに相対性理論は、アインシュタインの独創による賜物であったと、一先ずは言えるだろう。

しかし本当のことを言うと、それはアインシュタインただ独りの精神によって生み落とされたものではなかったのかもしれない。アインシュタインは、彼のもとに集った家庭教師の生徒達とともに、ポアンカレやマッハなど当時最高の知性をもった学者らの書物を輪読するオリンピア・アカデミーを開催していた。そうして、そこでの読書や談議を通じてこそ彼らは、それまでの身に纏っていた常識をひとつひとつ脱ぎ捨てて、相対性理論という新しい常識の衣を織り上げていくことができたのである。オリンピア・アカデミーは、ただ先生から生徒へと知識が受けわたされる教育の場所ではなく、そこで先生と生徒とが一緒になって、新しい常識、新しい世界、そうして新しい自分を立ち上げていく、まさに学問の現場として存在していたのだ。

 アインシュタインの頭脳をめぐる孤立した情報の流れではなく、アインシュタインと生徒達、彼らの頭骨を突きぬけて行き交う融通無碍な流れのうちにこそ、相対性理論は渦を巻いて現れた。そもそも学問というものは、孤独な精神のうちにではなく、一人一人の精神を超えて広がる大きな心の場所においてこそ、その実を豊かに育んでゆくものなのだろう。不思議を想う心ひとつとってみても、それは人から人へとこともなげに伝染していく。そして遂には、ひとりひとりの精神を包みこんで広がる、ひとつの大きな不思議の心となる。こうした大きな心に支えられてこそ私たちは、自分独りでは想えない不思議を想い、感じられない美しさを感じ、考えられない物事を考えることができるのである。

 

この度開校する私塾・松葉舎が、こうした大きな心の立ち上がる場所となることを願う。

 

◉募集の対象・現在の学生・学び舎について

 大学に入ってまさにいま学ぶことの喜びを謳歌している大学生、学校を卒業してからも学びを続けていきたい社会人、あるいは受験の枠を飛び越えていち早く学問の世界に触れてみたい高校生など、既に学問の世界へと足を踏み入れている方はもちろん、大学に入ってはみたものの何を学べばいいのか分からず悩んでいる大学生、社会に出てから初めて学問の面白さに気付いてしまった社会人、学校の勉強に意味が見出だせず困っている高校生など、学問の一歩手前で思い悩んでいる方もまた、募集の対象となっています。

 現在、塾生として在籍しているのは塚田愼一くん(早稲田大学文学部)、柄澤祐太くん(日本大学海洋生物資源科学部)、立川玲音奈さん(女子美術大学アート・デザイン表現学科)の三人、家庭教師の生徒として在籍しているのはタカノ綾さん(カイカイキキ・アーティスト)、佐藤世津子さんの二人となります。

塚田愼一くんと柄澤祐太くんは、もともと高校時代に僕から数学や物理学を習っていたのですが、彼らが大学生になって、彼らと一緒にいよいよ本格的な学問を学べる場所を作ろうと、私塾松葉舎を立ち上げました。裕太くんとの初めての授業のあとに、彼のお母さんから「息子が勉強を楽しいと言っているのを初めて聴きました」とメールを頂いたのが、今でも嬉しく印象に残っています。受験を終えてなお、僕のもとで学び続けたいと思ってくれている彼らの存在こそが、この私塾の理念を体現してくれています。

立川玲音奈さんは、僕も特別講師という形で関わっているファッションスクール・ここのがっこうにて知り合った、ファッションデザイナー志望の女の子です。ここのがっこうを卒業後、ファッション外の世界の感性を自分の服作りに取り入れるために、松葉舎へ入学してきてくれました。現在は人工生命研究者の池上高志さんにアドバイスを貰ったり、企業に素材開発の協力をしてもらったりしながら、〈生きている服〉の制作に取り組んでいます。

 また現在の学び舎としては、この私塾活動を初期段階からサポートしてくださっているフラワーアーティストの塚田有一さんに、温室という名の素晴らしい場所を提供していただいています。植物の緑に囲まれたこの空間で、いつもより新鮮な空気を吸いながら、みんなで学びに励んでいます。

◉授業内容について

 具体的な授業として現在行っているもの、将来行いたいものは以下の通りです。
(1)個人研究の立ち上げ(2)テーマ別の勉強会(3)森羅万象帳の作成

(1)個人研究の立ち上げでは、塾生のひとりひとりが自分の学問の中心となる主題を見付け、それについて学び、発表していきます。もちろん学問の世界には学ぶべきテーマが散在しているのですが、学んだことをただ知識として蓄えるのではなく、自らの血肉としていくために、ひとつ自分の核となる主題を見定め、そこに結晶させていくように物事を学んでいきます。また発表の場を設けることによって学ぶという行為を、知識をインプットするだけの受動的な行為から、アウトプットを見据えた能動的な行為へと切り替えていきます。

たとえば僕の場合であれば、心と生命について自分に納得のいく世界を立ち上げていきたいという想いがあり、そこに結びつけていくかたちで科学、哲学、あるいは歴史や芸術を学んでいます。自分の専攻すべき主題を定め、その主題について最近学んで面白いと感じたこと、今まさに考えていることなど、要は自分が今一番みんなに伝えたいと思っていることを、発表していってもらいます。

(2)テーマ別の勉強会では、僕がそのとき一番の鮮度で面白さを感じている旬のテーマや、時代を超えて学ばれる価値のある普遍的なテーマ、あるいは塾生のみなさんと一緒に設定していく共同テーマについて学びます。こうしたテーマについては、まず僕のほうで解説をしたり、参考書籍を紹介したりします。その後、塾生のみなさんにはそのテーマについて学んでもらい、最終的にはそこで学んだことを個人研究の主題へと結びつけて発表してもらいます。

たとえば、建築を専攻する塾生が進化論を学んだあとには、建築の生物学的起源について発表してもらったり、文学を専攻する塾生が意識の起源論を学んだあとには、文字の発明が人間意識にもたらした影響について発表してもらったり、というふうに。ここで学ぶテーマがひとつの媒介項となって、塾生それぞれの抱えている研究テーマが様々な角度から、しかも有機的に結びついていくことを狙っています。

(3)森羅万象帳というのは、寺田寅彦の弟子としても有名な科学者・中谷宇吉郎が、学生たちと一緒になって作成していたアルバムの名前です。宇吉郎は学生たちと共に、自分達が不思議だとか美しいとか思った現象をアルバム〈森羅万象帳〉にまとめ、学生たちとランチを食べるときにはこれを開き、研究のテーマを探したり議論を交わしたりしたそうです。

かつて僕の家庭教師の学生たちと開催した懇親会には、物理、建築、お花、文学、絵画、海洋、芸能、結び、演劇、さまざまな分野の人たちが集ってくれましたが、こうした色とりどりの背景を持つみなさんと一緒に〈森羅万象帳〉を作成していくことで、お互いの感性を通い合わせ、自分独りでは感じられない美しさ・不思議へと心が開かれていく場所を作りだせればと思っています。

 

◉サロン・課外活動について

 ゆくゆくは上記のような通常授業の他にも、塾生や、ときにはその家族の方なども一緒になって、課外活動のようなことをできればと思っています。

いちばんやりたいことは、異文化交流の場としてのサロン開催。科学、数学、哲学。芸術、芸能、武術。建築、ダンス、ファッション。さまざまな分野からその道で活躍されている先生をお招きしてのサロンを開催したいと思っています。ゲストとしてお越しいただいた先生にレクチャーをしていただいたり、逆に塾生のほうから発表をしてコメントをいただいたり、僕のほうで用意したテーマについて先生とともに話し合ってもらったり、サロンの形式についてはその時次第。さまざまな分野における一流の感性へと触れられる場を作りたいと思っています。

 

現在、ゲストとしてお越しいただける予定の先生方は以下の通り。(敬称略)

甲野善紀/武術研究家 

森田真生/独立研究者

安田 登/能楽師   下掛宝生流ワキ方

宇野良子/言語学者  東京農工大学准教授

小林晋平/物理学者  東京学芸大学准教授

小石祐介/デザイナー KLEINSTEIN代表

タカノ綾/現代美術家 Kaikai Kiki Artist

山田うん/ダンサー・振付家 Co.山田うん主宰

山縣良和/ファッションデザイナー writtenafterwards代表 coconogacco主宰 

 

 

これから他にも様々な分野の先生方にお声掛けしていく予定です。またサロンの他にも、たまに何処かに集まって、本を片手に読書会、机に向き合う勉強会、盃を交わす懇親会。おもしろそうなことであれば、なんでもやっていきたいですね。

 

◉月謝・時間・場所について

火曜日2コマコース
時間:18:30-21:30 
場所:神保町・駒込・千駄木・日暮里・馬喰横山周辺
月謝:30,000円(毎月3時間×2コマ)


土曜日2コマコース
時間:10:00-13:00
場所:神保町・駒込・千駄木・日暮里・馬喰横山周辺
月謝:30,000円(毎月3時間×2コマ)

 

月3コマコース

火曜日・木曜日・土曜日のいずれかのコースにプラスして、もう一日他の曜日の授業にも参加することができます。

月謝:35,000円

 

(1)第2・4週の火曜日・木曜日・土曜日が基本授業日となっております。何かしらの都合によってこの日程に授業が行えない場合には第1・3・5週の火曜日・木曜日・土曜日への振替授業となります。

(2)火曜日コースは神保町の温室という部屋が、木曜日・土曜日コースは神保町周辺の会議室が基本の授業場所となっております。何かしらの都合によりこの場所で授業が行えない場合には、神保町・駒込・千駄木・日暮里・馬喰横山周辺付近の会議室、カフェ、ファミリーレストランなどでの授業開催となります。

(3)運営が落ち着くまで、授業場所が転々とする可能性があります。

(4)サロンについては通常授業とは別日に、そのつど参加希望者を募っての開催になる予定です。
(5)サロンの参加費は月謝には含まれておりません。また、参加費はそのときの参加人数やゲストとしてお呼びする先生にもよりますが、だいたい3000円〜8000円程度になる予定です。
(6)会議室代は月謝に含まれておりますが、別途ドリンクオーダーの必要がある場合は実費のご負担をお願いしております。
(7)生徒様のご都合で授業をお休みされた際、月謝の払い戻しは致しかねますのでご了承ください。お休みされた分を、他の曜日の授業日に振替えられる振替制度や、個人レッスンの時間へと振替えられる補習制度がございます。

(8)病気・行事・帰省など講師都合で授業がお休みになった際は、所定の補講日に授業振替となります。

 

 

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